女子差別撤廃条約の選択議定書を嫌がる意味が分からない(議員の名前つき)

自民党の外交関係の合同会議で21日、女性差別撤廃条約の「選択議定書」をめぐって白熱した議論があった。批准を求める意見の一方で、「国連に助けを求めるほどの女性差別は今はない」「堕胎、離婚促進法だ」などの反対意見が続出。党内の合意形成は難しい情勢だ。
http://www.asahi.com/politics/update/0421/TKY200904210285.html

とまあ先生方の見解がウンコなのは置いといて、肝心の選択議定書を貼っておく。

というか、これを貼らなきゃ何がなんだかわからないじゃないの>朝日新聞

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約選択議定書
国連広報センター日本
http://www.unic.or.jp/recent/protoc.htm
英語に強い人はこっち
http://www.un.org/womenwatch/daw/cedaw/protocol/text.htm


要するに、

女子差別と考える人がいる→その国内の訴訟等で解決を計る(4条1項)
→ダメなら通報(2条)→国連の女子差別撤廃委員会が審議(1条)→その国に資料提出を求めたり訪問して調査する(8条1,2項)
→結果を勧告する(8条3項)→対象国はこれに対する見解を提出する(8条4項)

という制度が規定されている。なお、調査、訪問を排除することも可能。(10条1項)

「国連に助けを求めるほどの女性差別は今はない」「堕胎、離婚促進法だ」

ある女性議員が「我が国には伝統文化に根ざした法制度がある」と慎重論を唱え、男性議員からは「(批准を)後ろで支援しているのは左翼だ。日本の家庭崩壊の危機は、人権など西洋的な考え方を教えて日本の伝統教育がないからだ」という反対論も出た。


ええー?
勧告の基準となる条約本体のほうはとっくに批准してるわけで、今更選択議定書を批准して何が変わるの。

これ批准したところで調査や勧告に強制力なんて無いわけで、我が国の伝統文化に根ざした法制度とやらが勝手に変えられるわけでもないし、家庭崩壊に繋がるわけもないわけで。
そもそも、各国の研究者は今でも好きに入国して調査・研究できるわけで、議定書に基づくオフィシャルな調査を受け入れたところで、何か実質的な負担が生じるの?
この人達、素材になってる議定書を読んでいるんだろうか。

自民党HPには未だ議事録全文は公開されていない。見せられる内容じゃ、ないんだろうな。


追記:反対した議員のお名前がここに。

議定書批准に反対意見を述べたのは、


稲田朋美、西田昌二、馬渡龍治戸井田徹


稲葉大和赤池誠章

各議員だったとのことです。

http://genyosya.blog16.fc2.com/blog-date-200904.html

司法権の独立を侵すとか、もう斜め上。誰か教えてやれよ。
資料作って渡してる官僚もさ、センセイが恥かく前にレクチャーしてやれよ。見てみぬふりって、残酷だよ。ほんと。*1

*1:ちなみに条約本体の方は中曽根内閣時代に批准されてるんだけど、党内の方針は一体どうなってるの。条約の理念を遵守してるなら、調査を受け入れても問題ないはずだし、遵守して無いならそれ自体問題じゃん。しかも、今回名前の挙がってる人たちはどう見ても条約の趣旨と矛盾する発言をしてるんだけど、中曽根御大の見解はどうなんだろうね。