海外で国旗を破れば刑事罰?

海外では国旗への侮辱行為に刑事罰を科す国も多い。フランスでは公衆の面前で国旗に侮辱行為をした場合、7500ユーロ(約100万円)の罰金刑を定めている。集会で同じ行為をすれば、加重刑として6カ月の拘禁刑が科せられる。中国やカナダ、ドイツ、イタリア、米国も国旗への冒涜(ぼうとく)や侮辱、損壊などに処罰規定を設けている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090818-00000046-san-pol

国旗を破っただけでは違法ではない

国旗の損壊が処罰されるのは「侮辱の目的で」損壊した場合に限定されています。
破っただけで理由を問わず処罰されるなら、廃棄物処理業者は片っ端から処罰されるし、一旦国旗を所持すれば永遠に捨てられないということになりますね。
イベントで貰った小旗や万国旗を捨てりゃ刑務所にぶち込まれるわけです。

そんな馬鹿な事態が起きないように、「侮辱の目的」という要件が明文で規定されているわけです。これを主観的要件だとか主観的違法要素だとか呼びます。これを満たさないと違法じゃないという意味です。

日本ではどうなっているか

外国の国旗に限定され、かつ、侮辱目的が要件とされています。

(外国国章損壊等)第92条 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
http://www.houko.com/00/01/M40/045.HTM#s2.4

外国ではどうなっているか

  • 韓国刑法

第105条(国旗、国章の冒涜) 大韓民国侮辱する目的で国旗又は国章を損傷、除去又は汚辱した者は、5年以下の懲役又は禁錮、10年以下の資格停止又は700万ウォン以下の罰金に処する。<改正95・12・29>

第106条(国旗、国章の誹譏) 前条の目的で国旗又は国章を誹謗した者は、1年以下の懲役又は禁錮、5年以下の資格停止又は200万ウォン以下の罰金に処する。<改正95・12・29>
http://www.geocities.jp/koreanlaws/keihou2.html

  • アメリカ、中国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ

産経が自分で書いてるように、「侮辱行為」は処罰されます。
侮辱性を帯びるか否かを問わず犯罪となるなら、最初に述べたようにイベントの小旗すら捨てられなくなるからです。
ですから、侮辱行為とは呼べない破壊、破棄、加工は処罰対象ではありません。
アメリカで政党の旗を作るために星条旗をジョキジョキしても処罰されません。

産経の問題点

侮辱性の認定が狂ってる。この一言に尽きます。
産経の言うように「外国で」「侮辱行為が」処罰されることはありますから、まあ全部ウソとは言えません。
ですが、今回の行為は、産経が挙げた国々では処罰されません。
侮辱目的の存在が到底認定できないからです。

ですから、民主党批判の材料として諸外国云々を紹介するのは自爆もいいところです。
出鱈目な法律用語を散りばめて説得力を増そうとする振り込め詐欺集団と同レベルと言ってもいいでしょう。

産経の言い分では切り貼りが侮辱だそうですが、これが侮辱なら、行幸で貰った小旗を捨てるのも侮辱になります。ゴミ箱に捨てるんですから。市町村合併で旗を合体させるのも侮辱になるでしょう。切り貼りしてるんですから。

侮辱行為の認定を広くすると、こういう無茶苦茶な結論になってしまうわけです。

それを考慮せずに、民主党憎しの内心が露骨に記事に反映するあたり、全国紙としてはダントツに思慮が浅いように思います。